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ビジネスや店舗を運営していると、取引先の倒産やトラブルによって「売上が回収できなくなる」というリスクが常に隣り合わせです。
特に、決済代行会社「全東信」の負債総額1,259億円に上る破産ニュースは、多くの経営者に衝撃を与えました。
資金繰りが悪化する中、さらに経営者を苦しめるのが「お金が入ってこないのに、なぜかその売上に対して税金がかかる」という日本の税法の冷酷な現実です。
今回は、なぜ未回収の売上に税金がかかるのか、そして経営者を救う唯一の税金対策について、専門用語をわかりやすく噛み砕いてブログ形式で解説します。
結論から言うと、日本の税法が「発生主義(はっせいしゅぎ)」というルールを採用しているからです。
多くの人は「手元にお金が入ってきたら売上」「お金が出ていったら経費」と考えがちですが、これは「現金主義」と呼ばれる考え方です。しかし、法人税や所得税の計算では、原則としてお金の動きは関係ありません。
発生主義とは: 商品を引き渡した、あるいはサービスを提供し終えた時点で「売上が上がった」とみなすルール。
例えば、6月に商品を納品し、入金が7月末の予定だったとします。もし会社の決算が6月末であれば、まだ1円も現金を受け取っていなくても、6月決算の売上としてカウントしなければなりません。
そのため、取引先が倒産して売上が完全に焦げ付いて(回収不能になって)しまっても、税法上は「売上はすでに発生している」とみなされ、無慈悲にも法人税や消費税が課税されてしまうのです。
「相手の会社が潰れたなら、その未回収分を『貸倒損失(かしだおれそんしつ)』として今すぐ経費(損金)に落とせば相殺できるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、ここにもう一つの罠があります。日本の税法における「貸倒損失」の基準は、めちゃくちゃ厳しいのです。
ただ相手が破産手続きを始めただけでは、まだ経費にはできません。なぜなら、「最終的にどれくらい債権が切り捨てられるか(いくら戻ってこないか)」の確定通知が破産管財人から届くまで、税務上は「金額が確定していない宙ぶらりんの状態」とみなされるからです。
この確定通知が届くまでには長いタイムラグがあり、その間は未回収の売上に対して税金を払い続けなければならないという、経営者にとって非常に苦しい状況が生まれてしまいます。
この悲惨なタイムラグを乗り切るための、唯一とも言える救済措置が「貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)」の個別評価です。
税法では原則として「まだ確定していない見積もりの経費」を認めていません。しかし、相手が自己破産や民事再生などの法的続きを開始した場合など、明らかに回収が困難な特定のケースに限り、例外的に認められる制度があります。
今回の全東信の事例のように、すでに破産手続き開始の決定が出ている場合、まだ戻ってこない金額が確定していなくても、未回収債権の「50%」をあらかじめ経費(引当金)として計上することが認められています。
法人税の負担を今すぐ軽減できる: 未回収分の半分を出発点として経費化できるため、その期の利益を圧縮し、手元から出ていく税金を抑えることができます。
残りの50%はどうなる?: 破産手続きが進み、最終的な債権の切り捨て額が確定した段階で、残りの分を「貸倒損失」として処理することになります。
※注意点として、この「貸倒引当金」は法人税の軽減にはなりますが、残念ながら消費税の節税には繋がりません。
今回の全東信の破産劇は決して他人事ではなく、明日みなさんの取引先で起きてもおかしくない問題です。「お金がないのに税金を払えと言われる理不尽」に直面したとき、この「貸倒引当金」の知識があるかどうかで、会社のキャッシュアウト(現金の流出)を大きく抑えられるかどうかが変わります。
もし現在、取引先のトラブルや倒産で売上の未回収が発生し、資金繰りに頭を悩ませている方は、手遅れになる前に信頼できる税理士へ「個別評価の貸倒引当金が使えないか」をすぐに相談してみてください。
今回の記事の元となった動画では、図解を交えてさらに分かりやすく、発生主義の仕組みや税務調査での注意点について解説されています。経営者の方はぜひ一度チェックして、もしもの時の自衛手段として役立ててください。
動画はこちらから視聴できます:

