事業主なら押さえておきたい!消費税納付が不要な場合と、消費税がかからない取引3選

消費税とは?

消費税コラム消費税は物やサービスを『消費』したときにかかる税金で、酒税やたばこ税、ゴルフ場利用税等の間接税の代表的なものの1つです。

間接税とは税金を『支払う人』と『納める人』が異なる税金のことを言います。消費税を支払うのは物やサービスを『消費』する消費者ですが、納めるのは税金を預かった事業者です。

例えば、お客さんはお店で買い物をすればレジで商品代金と消費税を一緒に支払います。

そしてお店はお客さんから『預かった消費税』を後日まとめて税務署に納めることになります。つまり、お店(=事業者)は、お客さん(=消費者)から預かった消費税をお客さんの代わりに税務署に納付しているのです。

以上のように、一般のお客さん側であれば提示された税額を支払えば良いだけですが、消費税を預かった事業者は一体幾ら預かったのか、納税額はいくらになるのか、等をきちんと把握しなければならないのです。

税率8%!消費税の計算方法おさらい

消費税がどのように課税されているのかを、小売店の取引の流れを例とって、見ていきましょう。

1.小売店がメーカーから商品を486,000円(内、消費税36,000円)で購入。
2.小売店は商品を消費者に1,080,000円(内、消費税80,000円)で販売。
3.消費者は1,080,000円(内、消費税80,000円)を支払い、商品を手に入れる。

小売店が486,000円で仕入をした商品には36,000円の消費税が含まれています。つまり、小売店は36,000円の消費税を支払っていることになります。

一方、商品を販売したメーカー側からみると、小売店から消費税36,000円を受け取ったことになります。

その後、小売店は消費者に1,080,000円で商品を販売しています。その時に、小売店は消費者から消費税として80,000円を受け取っています。

消費者が負担した80,000円の消費税は、受け取った小売店がすべて納付するかというとそうではありません。

小売店は消費者から受け取った80,000円に対し、メーカーからの仕入時に支払った36,000円を引いた44,000円だけを消費税として納税します。

結果として、消費者が負担した消費税80,000円のうち44,000円を小売店が納付し、36,000円をメーカーが納付することとなるのです。

このように消費税は取引の各段階で課税され、各取引段階の事業者が、最終消費者が負担する消費税を分担して納付しているのです。

 

消費税の申告・納付が不要な場合

消費税には、一定規模以下の小規模事業者には免税となる特例があります。

基準期間中の課税売上高が1000万円以下の小規模事業者については、消費税の納税義務が免除されます。

ちなみに、消費税の納税義務が免除される者のことを免税事業者と言います。免税事業者となると、消費者から預かった消費税を税務署に納付する必要がありません。

基準期間とは、法人についてはその事業年度の前々事業年度、個人事業主については、その年の前々年となります。
法人は2年前の事業年度、個人事業主は2年前と考えてみましょう。2年前の事業年度の課税売上高が1000万円を超えている場合には、消費税の納税義務者になります。

さて、ここから新たに加わったややこしい税制改正の話を少し挟みます。

平成23年の税制改正により、平成25年1月1日以後に開始する事業年度から、基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、特定期間(通常はその事業年度の1年前の事業年度の上半期6カ月間)の課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税の納税義務は免除されないことになりました。しかしながら、特定期間の給与等の支払額の合計が1000万円を超えない場合には同じく免税となります。

仮にこの特定期間での課税売上高が1,000万円を超えていたとしても、給与等の支払い額が1,000万円を超えていなければ課税事業者とはならない、ということです。

消費税コラム用1

以上のように、平成25年1月1日以後に開始する事業年度については、基準期間と特定期間の2つを判定して消費税の納税義務があるかどうかを判断する必要があります。

※基準期間の売上が1000万円以下でも、新しく設立された法人で資本金が1000万円以上の新設法人や一定規模以上の法人の子会社については基準期間のない1期目、2期目でも消費税の納税義務が免除されないので注意が必要です。

 

消費税がかからない3種類の取引

消費税はモノやサービスを消費したときにかかる税金です。従って、全ての取引に消費税がかかるというわけではありません。一定の要件に該当すれば消費税はかかりません。消費税がかからない取引には『不課税取引』『非課税取引』『免税取引』があります。この3種類以外の取引が『課税取引』となります。

(1)不課税取引

まずは、『不課税取引』についてですが、取引の性質から言ってそもそも消費税を課す対象とならないものを不課税取引といいます。下記の要件に1つでも該当しない場合は、不課税取引となります。

1. 国内取引かどうか
海外で商品を購入しても、日本の消費税が取られるということはありません。日本の消費税は国内取引に対して課税されます。

2. 対価を得て行う取引かどうか
少しわかりにくい表現ですが、モノの譲渡や貸付・サービスの提供と、お金の支払(受取)との間に対応関係あるいは因果関係があるかどうかということです。従って、寄附や贈与等は対象となりません。

3. 事業として行うものかどうか
法人であれば、法人の行為は全て事業のためとされるので問題ありませんが、個人事業者の場合には所得税の計算と同様に事業行為と家事行為に区別し、家事行為は事業の消費税の計算から除くことが必要です。

(2)非課税取引

取引の性格上消費税を課税するのが好ましくない取引や、政策的見地から消費税を課税しないこととしている取引のことを非課税取引といいます。

本来は消費税が課税される取引ですが敢えて課税しないこととしているため、非課税取引は消費税法により下記のように限定列挙されています。

1.  土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
2.  有価証券、支払手段の譲渡など
3.  利子、保証料、保険料など
4.  特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
5.  商品券、プリペイドカードなどの譲渡
6.  住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
7.  外国為替など
8.  社会保険医療など
9.  介護保険サービス・社会福祉事業など
10. お産費用など
11. 埋葬料・火葬料
12. 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
13. 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
14. 教科用図書の譲渡
15. 住宅の貸付け(一時的なものを除く。)

(3)免税取引「輸出免税」

最後に、『免税取引』についてです。例えば輸出品のような実際の消費地が海外であるような場合の取引については、消費税が免除されます。

免税取引は、課税取引に該当するものの税率が0%である取引と言われています。

これは、消費がされる場所において消費税を課税しようという考えからです。
したがって、日本で消費されないことが明らかである輸出取引には、日本の消費税を課税しない、ということになるのです。

 

消費税の申告と納付

消費税を負担するのは消費者ですが、納税義務者は個人事業者や法人となります。

法人の場合は、事業年度ごとにその事業年度の終了の日の翌日から2か月以内に、所轄税務署に消費税の確定申告書を提出するとともに、税額を納付しなければなりません。

個人事業者の場合は、1月~12月の暦年ごとに納税額を計算し、これを翌年3月末までに確定申告して納税額を納めます。

 

まとめ

消費税は、負担する人(消費者)と納付する人(事業者)が異なる税金です。事業者はあくまで消費税を消費者から一時的に預かっているという意識を持ち消費税の納税に備えることが大切になります。

さらに、平成26年4月1日から消費税率が8%に上がりました。今後も消費税率が10%に上がる見込みとなっております。

消費税の納付に備えて、いくら納めなければならないのかを事前にシュミレーションして資金繰りで困らないように事前に積み立てておくことが、非常に重要となってきます。

また、これから起業される方については、免税事業者の特例をうまく活用するのが得策です。消費税が上がっていく今だからこそ戦略的な節税を行いましょう!