個人事業から法人成りした場合は、所得税と法人税の税率構造やその格差によるメリットが活きてくるのと、消費税の免税メリットをフル活用出来る、という点については以前のコラムでもご紹介しました。では、それ以外にはどのような有利な節税メリットがあるのか?
以下、1つずつ解説をしていきましょう。
給与所得控除でさらに経費枠が増える!
役員報酬は会社の経費であると同時に社長の個人所得であるため、所得税や住民税等の個人の税金がかかります。
その個人の税金を計算する際、その給与の金額のうちの一定金額(※これを給与所得控除と言います。)を必要経費のようなものとみなして個人所得の計算上控除することが可能です。
個人事業に比べ、会社を設立して個人と法人に所得を分散することによりこの給与所得控除の枠が利用可能となり、節税メリットが生まれます。
(※税制改正により徐々に縮小されることが決定していますのでご注意下さい!)
家族への給与支給により所得分散!
個人事業の場合は、原則として家族従業員に対する給料を経費とすることが出来ません。(青色事業専従者給与等、事前に税務署に届出をした場合等は可。)
法人の場合はそのような規制がないため、実際に事業に従事していれば労務の対価として妥当と認められる範囲で給料として経費にすることが可能となります。また、家族が経営に実際に関与している場合には役員としての登記をして役員報酬を支給することも得策です。
これらにより、所得分散をして代表社長の所得税・住民税を節税することが可能となります。
生命保険の有効活用
法人契約で被保険者=役員として加入する生命保険を活用すれば節税の幅は大きく広がります。会社防衛や将来の社長退職金の原資を貯蓄しながら節税をすることも可能です。(ここ数年、生命保険についての税制改正が頻繁に行われていますのでご注意下さい!)
欠損金(過去の赤字)を9年間も繰り越せる!
青色申告をしている、ということが前提になりますが損失、つまり赤字が発生した場合にはその赤字を翌年度以降の利益と相殺することが可能です。(これを欠損金の繰越控除と言います。)
ベンチャー企業の場合は立上げ当初は通常赤字決算となることが多いため、この制度を活用することにより軌道に乗った後の節税に繋げることが可能になります。
個人事業の場合は3年間しか繰越しできませんが、法人の場合は9年間繰越すことが可能です。
まとめ
以上の通り、個人事業と比較すると法人の方がいかに節税の幅が広いかお分かり頂けたか、と思います。
皆さんの現況から上記の各節税策の活用が可能かどうか検討の上、法人成りに取組んでみてはいかがでしょうか?